著者
荒川 浩久 黒羽 加寿美 山崎 朝子 川村 和章 小宮山 まりこ 飯塚 喜一
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.175-183, 1995-04-30
被引用文献数
15

わが国におけるフッ化物配合歯磨剤の普及を図るべく,7つの年齢グループにおけるブラッシング習慣とフッ化物配合歯磨剤の使用状況および使用者の意識に関する質問紙調査を実施した。1歳6か月児〜小学生までの4つの子供のグループにおいては,ブラッシング時に常時歯磨剤を使用している者が1.7〜49.2%であり,歯磨剤使用者の中でのフッ化物配合歯磨剤の使用割合は50〜90%であった。成人の3つのグループのそれは34〜47%と低かった。また,歯磨剤使用者が歯磨剤の選択理由として"フッ素入り"を挙げた者は8〜43%と少なく,その傾向は子供より成人のグループにおいてより明瞭であった。フッ化物配合歯磨剤使用者の中で"フッ素入り"を理由に挙げた者も13〜45%と少なかった。フッ化物の配合されていない歯磨剤使用者の中で"フッ素入り"を理由に挙げている者もわずかに存在するという奇妙な現象も見られた。以上の結果より,フッ化物配合歯磨剤の普及を図るには,以下の対策が必要であると結論できる。1.成人を含めたすべての人に対してフッ化物配合歯磨剤の有用性を啓発する。2.歯磨剤会社は,フッ化物配合歯磨剤であることをわかりやすく表示するとともに,成人用の歯磨剤にもフッ化物を配合する。3.日本の歯科保健機関は,フッ化物配合歯磨剤に対して推奨する旨の表示をする。