著者
佐藤 勉 中村 豊 齋田 淳
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.7_463-7_473, 2015 (Released:2015-12-25)
参考文献数
12

我々がローマにあるコロッセオの常時微動を1998年に本格的に測定してから15年以上が経過した。2013年には、そのうちの一部を再計測する機会に恵まれた。再計測したのは、1354年の地震でも崩壊せずに残った北側最外壁の地上階から最上階までである。地上階を除き15年前とほぼ同じ位置で計測できたので、以前の測定データも改めて今回の計測データとともに解析して、両者を比較した。その結果、概ね同様な伝達スペクトル形状となったが、明らかな相違も検出されたので、これらについて報告する。
著者
中村 豊 佐藤 勉 齋田 淳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00260, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
13

構造物などのヘルスモニタリング手法として,波動伝播速度や減衰定数を観測波形から直接リアルタイム計測できるCERS法がある.これをダム堤体の一部であるスラストブロックの物性値計測に適用した.対象は仙台市青葉区の大倉ダム(1961年に建設された日本唯一のダブルアーチダム)であり,竣工後50年の2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の際にも特に被害は報告されていない.公開されたアーチ間のスラストブロック頂部および点検坑道内の強震記録により,観測点間の波動伝播速度をCERS法により直接測定し,物性の変化を検討した. その結果,Mw9.0の強震動でスラストブロックの剛性が約6割まで低下し,記録終了時には約7割に回復したことが確認されるなど,物性値の変動や減衰に及ぼす貯水位の影響等が把握できた.