著者
齋藤 優介 西 繁典 小疇 浩 弘中 和憲 小嶋 道之
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.563-567, 2007-12-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
17
被引用文献数
3 5

7種類の食用豆類から80%エタノールと70%アセトンを用いた2段階抽出により全ポリフェノールを調製して,抗酸化活性,α-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ活性に対する抑制効果を比較した.ポリフェノール含量の多い豆は,順にアズキ,インゲンマメ,コクリョクトウ,黒ダイズ,リョクトウ,ダイズであったが,種子の大小や種皮色との関係は認められなかった.しかし,各豆類のモノマー型およびオリゴマー型ポリフェノール含量と抗酸化活性との間には高い正の相関関係が認められた.また,エンドウとダイズポリフェノールに占めるオリゴマー型ポリフェノールの割合は低く,α-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ活性の抑制作用はほとんど認められなかった.これに対して,アズキ,インゲンマメ,コクリョクトウ種子ポリフェノールには,オリゴマー型ポリフェノールが67-76%を占めており,抗酸化活性と共にα-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ活性の抑制作用を示した.リョクトウや黒ダイズポリフェノールは,α-アミラーゼ活性抑制作用はほとんど認められなかったが,α-グルコシダーゼ活性の抑制作用が認められた.これらの結果から,豆類ポリフェノールのオリゴマー型ポリフェノールは抗酸化活性作用とα-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ活性の抑制作用を有しているが,モノマー型ポリフェノールは主に抗酸化活性作用のみを有していることが推察された.
著者
小嶋 道之 山下 慎司 西 繁典 齋藤 優介 前田 龍一郎
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.386-392, 2006-07-15 (Released:2007-07-15)
参考文献数
40
被引用文献数
8 15

in vivoおよびin vitro実験により,小豆ポリフェノール(APP)の抗酸化活性の能力を検討した.マウスに0.05%(w/v)APP入りの飲料(20ml/日)を一週間与えて,その血清,肝臓および腎臓ホモジネートの酸化促進剤に対する影響を検討したところ,どれもコントロールのそれらに比べて酸化を受けにくく,特に肝臓ホモジネートでは有意に酸化抵抗性を示した.また,0.05%(w/v)APPを1週間,事前投与したマウスにガラクトサミンとリポポリサッカライドを腹腔内注射したところ,コントロールのそれに比べて,血清GOT活性の上昇抑制や肝臓の過酸化脂質の生成が有意に抑制された.肝臓のグルタチオン量やGPx活性は,コントロールのそれらよりも有意に高い値を保持していた.これらの結果から,APPは炎症により発生するフリーラジカル・活性酸素を消去し,生体内グルタチオン量とGPx活性を高く保持して,過酸化脂質の生成を抑えることで,結果的に肝臓の炎症拡大を抑制している可能性が推察された.また,APPのDPPHラジカル消去活性におけるIC50は64.2μmol/l(カテキン量として換算)であり,市販のカテキンやビタミンCの1/2量で同じ効果を示した.また,0.05%APPを80μl添加した2.5mlのヒトLDL溶液(タンパク質70μg/ml)は,200μmol/lの硫酸銅溶液による酸化促進に対して抵抗性を示し,APP無添加の場合に比べて,LDL酸化の開始時間を1時間程度遅延させた.これらの結果は,APPには生体の酸化防止効果や肝臓保護作用があることを示唆している.また,小豆の主要なモノマー型ポリフェノールは,カテキン-7β-グルコシドであることを明らかにした.
著者
小嶋 道之 山下 慎司 西 繁典 齋藤 優介 前田 龍一郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.386-392, 2006-07-15
被引用文献数
9 15

<I>in vivo</I>および<I>in vitro</I>実験により,小豆ポリフェノール(APP)の抗酸化活性の能力を検討した.マウスに0.05%(w/v)APP入りの飲料(20ml/日)を一週間与えて,その血清,肝臓および腎臓ホモジネートの酸化促進剤に対する影響を検討したところ,どれもコントロールのそれらに比べて酸化を受けにくく,特に肝臓ホモジネートでは有意に酸化抵抗性を示した.また,0.05%(w/v)APPを1週間,事前投与したマウスにガラクトサミンとリポポリサッカライドを腹腔内注射したところ,コントロールのそれに比べて,血清GOT活性の上昇抑制や肝臓の過酸化脂質の生成が有意に抑制された.肝臓のグルタチオン量やGPx活性は,コントロールのそれらよりも有意に高い値を保持していた.これらの結果から,APPは炎症により発生するフリーラジカル・活性酸素を消去し,生体内グルタチオン量とGPx活性を高く保持して,過酸化脂質の生成を抑えることで,結果的に肝臓の炎症拡大を抑制している可能性が推察された.また,APPのDPPHラジカル消去活性におけるIC<SUB>50</SUB>は64.2μmol/l(カテキン量として換算)であり,市販のカテキンやビタミンCの1/2量で同じ効果を示した.また,0.05%APPを80μl添加した2.5mlのヒトLDL溶液(タンパク質70μg/ml)は,200μmol/lの硫酸銅溶液による酸化促進に対して抵抗性を示し,APP無添加の場合に比べて,LDL酸化の開始時間を1時間程度遅延させた.これらの結果は,APPには生体の酸化防止効果や肝臓保護作用があることを示唆している.また,小豆の主要なモノマー型ポリフェノールは,カテキン-7β-グルコシドであることを明らかにした.