著者
齋藤 駿太 京極 真
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.452-459, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
31

本調査では,Occupational Engagement(以下,OE)の国内外の研究を系統的に概観し,ギャップの特定を通じて,国内におけるOE研究の発展の方向性の検討を行った.方法は,スコーピングレビューで実施し,国外19編,国内3編が採用された.共通点として,①OEは個人の肯定的な主観的経験であること,②OEの評価ツールの不足が挙がり,相違点として,①国内外のOEの研究方略の違い,②国内外のOEに関する知識量の差が挙がった.以上より,国内のOE研究の方向性として,①質的研究を通じた国内のクライエントのOEと健康と幸福との関連性や,OEの認識を検証すること,②OEの評価ツールの開発の検討が課題に挙がった.
著者
坂本 勇太 齋藤 駿太
出版者
公益社団法人 北海道作業療法士会
雑誌
作業療法の実践と科学 (ISSN:24345806)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.111-117, 2023-11-30 (Released:2023-11-30)
参考文献数
9

クライエント(以下,CL)中心の作業療法(以下,OT)を実践するためにCLとの協業が必須であるが,CLがOTに拒否的な態度を示すこともある.今回,入院により主婦の役割を剥奪され,OTを拒否する高齢女性のA氏を担当した.A氏はマズローの欲求段階による評価から安全欲求が不足していたため,趣味である音楽鑑賞により欲求の充足を行い,CL中心の可能化のカナダモデル(以下,CMCE)を用いて介入した結果,A氏の必要な作業である「炊事」の可能化に至った.OTを拒否するCLの作業を可能化するためには,CLの欲求段階を踏まえた上でCMCEを用いた介入が有用であることが示唆された.