著者
吉村 美香 長野 宏子 辻 福美 Anh To Kim 大森 正司
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.603-610, 1998-10-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

(1) 酸肉にはいずれの試料においても,LBSもしくはTATACのどちらか,または両方の培地に生育が見られた.また,ポテトデキストロース寒天培地においては全ての試料で生育が普遍的に見られた.層そして,DHL寒天培地において多くの試料で生育が見られた.(2) 一般成分を分析した結果,豚肉のpHは5.61で,酸肉(ネムチュア)のpHは3.81と低かった.また,乳酸の生成が顕著に見られた.(3) 遊離アミノ酸は,酸肉(ネムチュア)の方が多く含まれ,特に旨味成分のグルタミン酸が多く,次いでアラーン,ロイシンなどが多く含まれていた.これは,豚肉のタンパク質の自己消化による変化とほぼ一致した.(4) SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動及びペプチドパターンの分析の結果,発酵によって肉タンパク質が分解し,低分子タンパク質やペプチドの生成が認められた.