著者
Fernandez Cristhian 松田 敏信 古塚 秀夫
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.27-32, 2009

2005年に公布された米国エネルギー政策法において,バイオエタノールの使用が義務づけられた.その後のバイオエタノール・ブームにより原料のトウモロコシの価格が高騰し,さらにトウモロコシへ作付け転換された大豆の価格もまた高騰している.こうした背景を踏まえ,本稿では需要体系モデルにより,トウモロコシと大豆それぞれについて,2005年エネルギ-政策法公布前後の国際需要パターンの変化を分析した.具体的には,それぞれの穀物について,主要産地であるアルゼンチン,ブラジル,および米国産の間の代替・補完関係の変化に注目した.分析の結果,トウモロコシでは,アルゼンチン産が奢侈財としての性格を強め,米国産が奢侈財から必需財へ変化していることが明らかになった.一方,大豆では,ブラジル産が必需財としての性格を強め,米国産が奢侈財としての性格を若干強めていることが明らかになった.