著者
Harting Axel
出版者
広島大学外国語教育研究センター
雑誌
Hiroshima Studies in Language and Language Education (ISSN:13470892)
巻号頁・発行日
no.21, pp.187-198, 2018-03-01

本稿は,大学における初修外国語としてのドイツ語授業において,SNSをどのように取り入れることができるかについて考察するものである。筆者が担当するドイツ語授業(CFER level A2)を受講している学生のうち9名が,このプロジェクトに自発的に参加した。プロジェクトに参加した学生には,毎週,オンラインコミュニケーションでよく使われる発話行動を引き出すためのタスクが与えられた。学生はこのプロジェクトのために作成されたフェイスブックグループのタイムラインに自分の日常を投稿し,お互いの投稿にコメントをつけることが求められた。学習者が発話行動時にどのような問題に直面するかについて明らかにするために,タイムラインの投稿を質的・量的な面から検討した。そこでは,タスクごとに行われた発話の頻度,正確性および適切性を判断した。結果としては,このプロジェクトのために開発したタスクが非常に多くの発話行動を引き出すのに適切であること,発話のタイプ,頻度,適切性がタスクによって異なることが示された。また,学生はタスクに取り組む際,授業中に実施した事前の準備活動で使用した表現を多く活用していた。さらに明らかになったことは,タスク遂行の難しさは学生のL2における社会語用論的知識の不足だけでなく,SNSの使い方に慣れていないことにも起因しているということである。プロジェクト終了後のアンケート結果から,学生が外国語学習のツールとしてSNSを使用するのは良いと感じていること,このプロジェクトを通じてドイツ語の発話行動や知識を延ばすことができたと感じていることがわかった。
著者
HARTING AXEL 吉満 たか子 岩崎 克己
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、日本における非ドイツ語母語話者の教師がいかなる目的のもとに、日本語とドイツ語を使い分けているのかを明らかにすることである。そのために、言語選択を決定づける要因を探るとともに,教授目的ごとに受講者が母語(L1)と学習言語(L2)のどちらを使用するのかを見極めるために,ドイツ人と日本人両方のドイツ語教師を対象にして,調査を行った。その結果,受講者のL1使用を誘発する要因として,複雑な教育内容,規模の大きな授業,そして受講者のやる気の低さないしはL2能力の低さが示唆された。