著者
北村 育子 永田 千鶴 Ikuko Kitamura Chizuru Nagata
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.133, pp.1-16, 2015-09

認知症高齢者が地域で暮らし続けることを支援するための要件と課題とを,地域包括支援センターにおいて行われているチームアプローチの実際を踏まえて明らかにした.熊本県内の全てのセンター79か所の職員196名から回答を得,44項目7因子(1)認知症疾患医療センターとの連携,(2)認知症高齢者の支援に必要なネットワークの構築と家族・地域の啓発,(3)認知症高齢者の緩和ケアと終末期ケア,(4)認知症高齢者の権利擁護とそのための地域資源の開発,(5)認知症高齢者とその予備軍の所在・状況の把握,(6)介護サービス利用のためのアドボカシー,(7)介護家族支援,を抽出した.専門職間で実施に多少の違いはあるものの,概ね地域包括支援センターとしてチームアプローチによる実践が行われていたが,終末期ケアに関する支援,ボランティアの活動機会の創出,家族会の立ち上げや地域への広報,などは実施率が低かった.