著者
Won Dong-Sun Park Chul In Young-Joo PARK Hee-Myung
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.551-553, 2004-05-25
参考文献数
9
被引用文献数
7

3ヵ月齢のメスのシベリアトラが,後肢運動失調を主訴として建国大学獣医学教育病院に来院した.患畜は離乳後牛肉のみを給餌されており,カルシウム剤やビタミン剤は与えられていなかった.その症状は運動失調と,触診による後躯の疼痛であった.さらに,歩行異常,体動嫌悪,また神経学的検査により反射運動低下がみられた.レントゲンのラテラル像およびV-D像で腰仙骨の骨軟化性変化が観察された.PTHレベルは,猫のそれと比較して,上昇が認められた.以上の所見から本症例は栄養性二次性上皮小体機能亢進症と診断された.患畜の症状はビタミンDおよびカルシウム投与後,改善された.すなわち本症例は,カルシウムとリンの音量が不均衡な肉食で飼育された野生動物に発生した栄養性上皮小体機能亢進症である.