著者
長澤 可愛 石井 奈智子 藤井 沙織 湯浅 孝男 NAGASAWA Kaai ISHII Nachiko FUJII Saori YUASA Takao
出版者
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻
雑誌
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻紀要 (ISSN:18840167)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.139-144, 2015-10-31

本研究は, 統合失調症患者のリズム同期能力の関連要因を検討することを目的とし, リズム同期能力, 認知機能,および社会機能の評価を行った. 対象者は25名であった. リズム同期能力は, 打楽器を使用した簡易的なリズムテスト, 認知機能は統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J) の数字順列課題と符号課題, 社会機能については精神科リハビリテーション行動評価尺度(REHAB) で評定した. その結果, リズム同期能力とワーキング・メモリに相関が認められた. また, リズム同期能力と社会機能の関連について, リズム同期能力が低いと社会機能が低かった. 以上の結果より, 統合失調症患者のリズム同期能力は, ワーキング・メモリ, そして社会機能が関連していることが示唆された.
著者
石井 良和 石井 奈智子 林 千栄子 Ishii Yoshikazu Ishii Nachiko Hayashi Chieko
出版者
秋田大学医学部保健学科
雑誌
秋田大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13478664)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.26-33, 2007-10-01

本研究では, 目的的課題がフロー経験に与える影響とLocus of Control や興味といった個人的要因の関連性を検討した. 59名の対象者を交互に実施した順に目的群と無目的群に分け, 目的群には被験者が選択したパーラービーズ作品を完成させるという課題を行わせ, 無目的群にはパーラービーズを盤の上に置く課題を行わせた. その結果, 目的群においてより高いフローが経験され, 各々の課題遂行後の両群にはフローと興味間に有意な相関を示し, 無目的群の中の多くの被験者がそのグループの平均よりも能力水準を高く, また挑戦水準を低く認識する「不安」という感情カテゴリーに属することが示された. 実際に課題を完遂させるという経験は興味とフロー経験との関係を明確にさせる可能性を示唆し, 無目的課題は否定的感情をもたらす可能性を示唆した.