著者
久米 裕 藤田 尚子 阿部 勇太 石井 奈智子 石井 良和
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻紀要 (ISSN:18840167)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.47-56, 2011-03

最近の作業療法では,クライアントの主観性を評価するアプローチが行われるようになってきた.本研究の目的は,作業活動における目標設定の違いがどのように自己効力に影響を及ぼすのかを検討することである.成人の健常群(n=42) と精神科に入院している患者群(n=28) を対象とし, それぞれの群を2つの条件で分けた.条件Aは手順冊子を見ながら最後まで行い,革細工のコインケースを完成させることである.条件Bは全工程を8分冊したものを順番に完成させながら最終的に一つの作品を完成させることである.一般性自己効力感尺度,課題特異的セルフエフィカシー尺度,難易度,技能,興味のデータを解析した.結果は,精神科の入院患者群では条件にかかわらず,General Self-Efficacy Scale (以下GSES) における失敗に対する不安因子が変わりにくい特性があり,この群の条件Bでは実際に最後まで行って完成に至っても,GSES における行動の積極性因子は改善されにくかった.しかしながら,課題の難易度の感覚は減少し,技能と興味の感覚に向上が見られた.本研究は,精神科入院患者グループの自己効力感を変化させることは健常群よりも難しいという結果を示したが,同時にクライアントの課題に対する難易度感,技能,興味に焦点を当てたアプローチが必要ということも示唆している.
著者
石井 良和 石井 奈智子 林 千栄子 Ishii Yoshikazu Ishii Nachiko Hayashi Chieko
出版者
秋田大学医学部保健学科
雑誌
秋田大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13478664)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.26-33, 2007-10-01

本研究では, 目的的課題がフロー経験に与える影響とLocus of Control や興味といった個人的要因の関連性を検討した. 59名の対象者を交互に実施した順に目的群と無目的群に分け, 目的群には被験者が選択したパーラービーズ作品を完成させるという課題を行わせ, 無目的群にはパーラービーズを盤の上に置く課題を行わせた. その結果, 目的群においてより高いフローが経験され, 各々の課題遂行後の両群にはフローと興味間に有意な相関を示し, 無目的群の中の多くの被験者がそのグループの平均よりも能力水準を高く, また挑戦水準を低く認識する「不安」という感情カテゴリーに属することが示された. 実際に課題を完遂させるという経験は興味とフロー経験との関係を明確にさせる可能性を示唆し, 無目的課題は否定的感情をもたらす可能性を示唆した.