- 著者
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岩下 明生
小川 博
安藤 元一
Iwashita Akio
Hiroshi Ogawa
Motokazu Ando
- 出版者
- 東京農業大学
- 雑誌
- 東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.2, pp.69-76, 2015-09
アライグマ(Procyon lotor)の密度指標として捕獲効率(CPUE)が有効であることはすでに知られているが,このデータは捕獲作業を実施しなければ得られない。そこで,自動撮影データから得られた諸指標[撮影効率,撮影するのに要した期間(LTD),撮影メッシュ率]を捕獲効率と比較することによって,自動撮影データの密度指標として有効性を検討した。アライグマの生息状況が異なる神奈川県内の3地域の林地を主な調査地として,2010-2011年に自動撮影調査を行った。捕獲効率,捕獲するのに要した期間(LTC)および捕獲メッシュ率は,行政による防除事業データから算出した。これら指標を地域間で比較すると,撮影効率,撮影メッシュ率,捕獲メッシュ率は,捕獲効率と同様の傾向を示したが,LTDとLTCはそうではなかった。一般化線形混合モデルにより解析したところ,撮影効率は捕獲効率に対して有意な正の関係がみられたが,LTCにおいてはみられなかった。これらのことからアライグマの密度指標として,撮影効率は有効であった。