著者
伊藤 美咲 栗田 季佳 ITO Misaki KURITA Tokika
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.61-67, 2017-03-31

障害児のきょうだいは、健常児の兄弟を持つ子どもにはない特有の悩みを持つことが指摘されている。しかし、国内において、障害児・者のきょうだいであることによる体験や影響に関する研究は少ない。また、きょうだいに関する研究の中でも、健常児の兄弟と障害児のきょうだいを比較している研究はほとんど見当たらない。そこで本研究では、障害児と健常児の兄弟にインタビューを行い、障害児のきょうだいである特有の実態を検討した。インタビューの結果、同胞のことを友達へ話すことへのためらいや、将来に及ぼすきょうだいの影響等が特有の実態として挙がってきた。また、健常児の障害児・きょうだいに対する見方は、「積極的拒絶」「消極的拒絶」「対等」の3種類に分けられた。今後の課題として、環境の大切さ・教育現場での支援の重要性が示唆された。
著者
栗田 季佳 中野 慎也 荒川 哲郎 名畑 康之 勝谷 紀子 KURITA Tokika NAKANO Shinya ARAKAWA Tetsuro NABATA Yasuyuki KATSUYA Noriko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.149-160, 2016-03-22

本研究は、難聴者への否定的な態度にどのような価値観が関わっているかを探索的に調べた。研究1では、難聴の子を取り巻く周囲の子ども達が変容した学級について、担任教師へインタビューを行った。インタビューより、周囲の子ども達は、難聴の子どもに対する態度だけでなく、自閉症スペクトラム障害の子どもへの態度や、授業での様子など、学級全体の雰囲気が変わっていったことが語られた。担任教師の教育観から、子ども達の中で失敗に対する価値観に変化が生じていたことが推測された。研究2では、直接そのことを調べるため、質問紙調査によって失敗観と他者への態度に関連があるかを調べた。その際、難聴者だけでなく、健常者、吃音者も対象とした。その結果、否定的な失敗観が強い人ほど、他者との交流に対して抵抗感を感じており、その傾向は相手が健常者である場合よりも難聴者や吃音者である場合の方が強かった。これらより、難聴者を含む障害者への偏見や他者への寛容さの問題に対して、自己の価値観と向き合うことが重要であることが示唆された。