- 著者
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勝谷 紀子
- 出版者
- 公益社団法人 日本心理学会
- 雑誌
- 日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
- 巻号頁・発行日
- pp.PC-086, 2021 (Released:2022-03-30)
落語の口演,稽古,鑑賞の体験が演者にもたらす影響を調査し,社会人落語家における対人ストレスユーモア対処およびユーモアスタイルの程度を調べ,落語経験との関連も調べた。24名の社会人落語家(男性16名,女性6名,その他の回答2名,平均年齢59歳)が調査に回答した。調査では落語経験(落語口演歴,持ちネタの数,1年のうち高座に上がる平均的な回数,落語鑑賞歴など),落語を演じる影響,落語の稽古を重ねる影響,落語鑑賞の影響(いずれも自由記述),対人ストレスユーモア対処尺度(桾本・山崎,2010),日本語版ユーモアスタイル質問紙(吉田,2012)へ回答を求めた。落語を演じる影響は,人前で話す行為への影響が最も多く,ついで対人関係への影響だった。落語の稽古の影響は,「自分の特徴,性格,資質への気付き」が最も多かった。落語鑑賞の影響は,「興味・理解の深まり」が最も多かった。高座に上がる回数が多い人ほど,鑑賞歴が長い人ほど対人ストレスユーモア対処尺度得点が低い傾向があった。ユーモアスタイルに関しては,落語口演歴が長い人ほど,自虐的なユーモアの程度が低く,自己高揚的なユーモアも低い傾向がみられた。