著者
MORI James Jiro 加納 靖之 柳谷 俊 大見 士郎
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

2009年7月、中国・?川地震(2008年、Mw7.9)による余震域の上空を皆既日食が通過した。これは地球潮汐が小規模地震を誘発するかどうか調べる貴重な機会となった。2008年5月から2009年9月までの期間の余震について中国地震局のデータを調べたところ、M1.3以上の地震は4万回を超えていた。われわれはスペクトル解析やスタッキング法などいくつかの方法を使って16ヶ月分のデータを研究し、潮汐の振幅の大きい日食期間中のものはとくに詳しく調べた。その結果、スペクトル解析においては、12時間の地球潮汐との弱い相関関係を見つけることができた。われわれは断層地域に掘られたボアホールでハイドロフォン観測を行うことも計画していた。しかし、ボアホールの完成が5ヶ月も遅れたため、日食に合わせて計器を設置することができなかった。その後、ボアホールに設置された地震計は多くの小規模地震を記録している。ここでも、われわれは12時間の地球潮汐との弱い相関関係を見つけることができた。
著者
家森 俊彦 MORI James Jiro 大志方 直人 神田 径
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

下層大気の気圧変動が重力音波モートで上空に伝搬し、電離層高度で反射され発生する約3分-4分周期の共鳴振動の存在が推測されている。当研究では、日食時の総合的観測から、重力音波共鳴の特性とそれが電離層や固体地球におよぼす効果を定量的に解明することを目的とした。微気圧観測システムをトカラ列島(諏訪瀬島、中之島)、桜島、および屋久島の京都大学防災研究所の関係施設4ケ所、沖縄・琉球大学瀬底実験所、および奄美大島北高等学校、上海近郊2ケ所の計8ケ所に皆既日食前に設置、観測を開始した。諏訪瀬島、中之島、および沖縄にはフラックスゲート磁力計、諏訪瀬島および中之島にはGPS受信機も設置した。また、沖縄および阿蘇火山研究センターにはHFドップラー観測用アンテナおよび受信装置を設置した。上海近郊で得られた微気圧観測データおよびHF-Doppler観測データには、明瞭な音波共鳴周期に対応するスヘクトルビークが検出された。また、上海近郊の地磁気観測所で得られた磁場観測データにも音波共鳴に対応する周期にピークが見られた。ただし、地上の微気圧データに見られたピークは基本共鳴周期(fundamental made=約265秒)であるのに対し、電離層高度の震動を見ていると考えられるHF-Doppler観測データや地磁気観測データには、第一高調波(first overtone=約225秒)にピークが現れた。これは、微気圧震動が、電離層高度での電磁気的震動と比較して、局在化しているためか、あるいは振幅の高度変化と電離周電気伝導度の高度変化との位置関係によるものではないかと推測される。トカラ諸島や沖縄、屋久島等で行った観測では、上記共鳴周期付近にスヘクトルピークが現れる傾向が見られたが、必ずしも明瞭ではなかった。また、広帯域地震計のデータには、皆既口食に対応すると考えられる振動は検出できなかった。
著者
MORI James Jiro 伊藤 久男 柳谷 俊 松林 修 加納 靖之 木下 正高 MA Kou-fong
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

我々は,車籠埔断層を横断する温度プロファイルを観測するために,深さ250mのボアホールを掘削した.この掘削場所は1999年集集地震による温度異常が2000年に観測された場所のごく近傍である.2008年と2010年の温度測定では,温度異常は観測されなかった.このことは,2000年に観測された温度シグナルが地震による摩擦発熱による真のシグナルであったことを示している.