著者
Syeda Shahnaz PARVEZ Mohammad Masud PARVEZ 藤井 義晴 弦間 洋
出版者
Japanese Society for Tropical Agriculture
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.243-249, 2003-12-01 (Released:2010-03-19)
参考文献数
36

バングラデシュ, インド, パキスタン, フィリピン, タイの5力国から収集したタマリンド成熟果実の成分分析を行った.可食部の水分含量は約20%で, 乾物100g当たり粗タンパク質は8.5~9.1g, 脂質は2.7~3.1g, 繊維は2.8~3.4g, 炭水化物は82.1~82.69, カロリーは1, 539~1, 581KJの範囲を示し, 全糖質含量は46.5~58.79であった.構成無機質のうち, 高含量はMg (25.6~30.2mg) とNa (23.8~28.9mg) で, Cu (0.8~1.2mg) とZn (0.8~0.9mg) の含量は低かった.活性酸素ラジカル消去能 (ORAC) と総フェノール含量を計測したところ, それぞれ乾物1g当たりTrolox当量で59.1~66.3μmol, 乾物100g当たり没食子酸当量で626.6~664.0mgを示した.両者間には強い相関が見られた (>0.99, 1%レベル) ことから, 高フェノール含量のタマリンド果実は, 活性酸素ラジカルによる生体の酸化障害から保護する機能を有すると思われた.このようにタマリンド果実はミネラル補給, さらには高フェノール含量に基づく抗酸化性など貴重な食料資源であることが明らかにされた.本報はタマリンド, とくに東南アジア周辺国で収集した果実の抗酸化性に言及した初めての報告であり, 今後, タマリンド果実あるいはその加工食品が, 生体調節機能をもつ機能性食品として利用されるであろう.