著者
三俣 延子 Nobuko Mitsumata
出版者
同志社大學經濟學會
雑誌
經濟學論叢 = Keizaigaku-Ronso (The Doshisha University economic review) (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.259-282, 2008-09-20

主として編纂物に所収される歴史資料を分析することにより、近世京都における屎尿肥料取引の実態を解明し、エントロピー論や物質循環論にもとづいて考察する。分析の結果、都市から近郊農村への屎尿肥料の供給は主として金銭を介しての売買によるものであったことが判明する。これを「屎尿経済」と定義するとともに、この金銭を介した経済活動が増大したエントロピーの処分を行いながら物質循環を活発化させる経済循環として機能し、持続可能な社会の実現に大きな役割を果したことを述べる。
著者
三俣 延子 Nobuko Mitsumata
出版者
同志社大學經濟學會
雑誌
經濟學論叢 = Keizaigaku-Ronso (The Doshisha University economic review) (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.173-193, 2009-07-20

本稿は、江戸時代の京都と比較しながら、18-19世紀のイングランド・リバプールで展開されたナイトソイル・エコノミーの歴史を分析する。なお、ナイトソイル・エコノミーとは、都市が供給した人の排泄物が金銭的取引によって農村で肥料として需要されるという、物質循環を活発化させる経済活動のひとつである。結論として、リバプールでは、自治体がナイトソイル・エコノミーの構築に大きな役割を果たしたことが明らかになる。