著者
緒方 茂樹 相川 直幸 Ogata Shigeki Aikawa Naoyuki
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.361-379, 2004-02
被引用文献数
1

精神生理学的なアプローチの方法を、学校教育現場などのような実践場面すなわち、実験室以外のフィールド場面に応用していくことは、今後の教育分野の科学的な理論構築を考えていく中で新たな可能性をもつと考えられる。本報告では将来的にこのようなフィールドワークを行う際に必要な方法論的な工夫のひとつとして、特に子どもや発達障害児を対象にした場合を想定しながら、artifactsの除去という面から重点的に検討を加えた。その結果、従来的な各種フィルタリング(アナログフィルタと移動平均)の手法によるartifacts除去に関わる課題を指摘し、特に障害児を対象とした記録で混入が予想される「体動および筋活動電位によるartifacts」については、直線位相FIRデジタルフィルタを当てはめることで、視察的な面からみて十分に除去することが可能であることを明らかにした。さらにこのFIRデジタルフィルタについて、脳波波形認識法に関わる前処理としての有効性についても検証し、今後のアルゴリズム簡略化の可能性を示した。将来的なフィールドワーク、特に障害児教育への精神生理学的研究の応用に当たっては、この方法論はきわめて有効な手段のひとつとなりうると考えられる。
著者
赤嶺 太亮 緒方 茂樹 Akamine Taisuke Ogata shigeki
出版者
琉球大学教育学部附属発達支援教育実践センター
雑誌
琉球大学教育学部発達支援教育実践センター紀要 (ISSN:18849407)
巻号頁・発行日
no.1, pp.29-39, 2009

調査1では、学校内における校内支援体制の進展及び課題を明らかにするため、沖縄県の公立学校及び特別支援学校のコーディネーターを対象に悉皆調査を行なった。その結果、「校内委員会の設置」といったいわゆる支援体制の「形式」は出来つつあるが、機能面である「質」に焦点を当てると、依然として課題が見られた。その主な背景には、コーディネーターの職務に対する環境調整が十分にされていないことが明らかになった。また、調査3においては沖縄県のスーパーバイザー的な立場にいる公立学校及び特別支援学校のコーディネー夕ーを対象に、教員間の「共通理解」に関するノウハウ、実態及び課題を明らかにするために質問紙調査及び聞き取り調査を実施した。その結果、コーディネーターは、日常勤務における工夫・改善を図りながら共通理解に取り組んでいることが明らかになった。得られた所見から、今後、特別支援教育における機能的な校内支援体制を整備していくためには、1校内支援体制の質的課題、2コーディネーターが取り組みやすい環境調整の必要性とそれを支える管理職の理解、3「子どもの変容」を中心とした全職員での共通理解のあり方、4共通理解を図る上での「場や時間の有効活用」、が重要であることを指摘した。