著者
小沢 和弘 相川 直幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.575, pp.21-28, 2001-01-19
被引用文献数
10

サンプリングレート変換は、サブコーディングやA/D・D/A変換などに広く用いられる重要な技術の一つです。通常、サンプリングコンバーターにはナイキストフィルタやフィルタバンクが用いられる。しかし、それらは非常に多くのメモリを必要とし、サンプリングレートが変わるたびに再設計しなければならない。そこで以前、我々は2次関数を用いた新しい補間カーネルの設計法について提案した。しかしながら、その方法ではより大きな阻止域減衰量を得るために1振幅あたりに使用する2次関数の数を増やそうとすると、多くのメモリが必要となってしまう。そこで本報告では補間処理の高速化ならびにカーネルを構成するために必要なメモリ量が少ない効果的な構造とその設計法を提案する。また、今回提案するカーネルは従来のカーネルと同様に任意のサンプリングレートに対応することが可能であるという利点を持っている。
著者
緒方 茂樹 相川 直幸 Ogata Shigeki Aikawa Naoyuki
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.361-379, 2004-02
被引用文献数
1

精神生理学的なアプローチの方法を、学校教育現場などのような実践場面すなわち、実験室以外のフィールド場面に応用していくことは、今後の教育分野の科学的な理論構築を考えていく中で新たな可能性をもつと考えられる。本報告では将来的にこのようなフィールドワークを行う際に必要な方法論的な工夫のひとつとして、特に子どもや発達障害児を対象にした場合を想定しながら、artifactsの除去という面から重点的に検討を加えた。その結果、従来的な各種フィルタリング(アナログフィルタと移動平均)の手法によるartifacts除去に関わる課題を指摘し、特に障害児を対象とした記録で混入が予想される「体動および筋活動電位によるartifacts」については、直線位相FIRデジタルフィルタを当てはめることで、視察的な面からみて十分に除去することが可能であることを明らかにした。さらにこのFIRデジタルフィルタについて、脳波波形認識法に関わる前処理としての有効性についても検証し、今後のアルゴリズム簡略化の可能性を示した。将来的なフィールドワーク、特に障害児教育への精神生理学的研究の応用に当たっては、この方法論はきわめて有効な手段のひとつとなりうると考えられる。
著者
森 幸男 相川 直幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-03-06

本報告では、ウェーブレット変換した音声をスペクトログラムのような音声画像で表し、画像認識処理によって音声認識することを試みた。
著者
櫻田 大樹 田中 稜介 杉浦 陽介 相川 直幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.394, pp.109-112, 2015-01-15

布製のおしぼりを扱う再利用工場では,検品作業においておしぼりのよごれ,やぶれや金属,髪の毛の混入の検査が行われている.中でも髪の毛の混入に関する検品作業は現状,人が目視で行っており髪の毛の有無の見落としが問題となっている.この問題の解決に向け,本報告では画像処理を用いておしぼり表面に付着した髪の毛をリアルタイムに自動判別するシステムを提案する.本システムは,ラインセンサカメラで撮影した髪の毛の画像をリアルタイムに判別するためにFPGAを用いて処理する.髪の毛の有無判別処理は,まずエッジを抽出後にラベリングと面積処理を行い,最後に閾値処理により実現している.
著者
杉田 泰則 相川 直幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.735-740, 2002-06-01
被引用文献数
16

本論文では,逐次射影法を用いて任意の振幅特性と位相特性を同時に満足し,かつ安定したIIRディジタルフィルタの設計法を提案する.提案法では,ルーシェの定理を用いることにより,分母多項式のすべての極がZ平面上の単位円内となるよう係数の更新量を制限している.
著者
緒方 茂樹 相川 直幸
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は障害児教育における「音楽を活用した取り組み」をより効果的に行うことを目的として計画されたものである。「音楽を活用した取り組み」を理論的に計画し、さらにその教育効果について科学的に評価するためには、音楽が人間に及ぼす効果や影響について客観的に知る事が不可欠である。初年度は琉球大学内にまず脳波計を軸とした生理学的な指標全般の計測システムを整備した。この琉球大学内に整備した計測機器を用いて今年度も引き続き実験的検討を進め、特に健常者を対象とした基礎実験を継続的に行った。この実験的検討から得られた所見として、音楽鑑賞時の脳波変動には、特に「心理的構え」の相違がきわめて大きな影響を与えていることが明らかとなった。次の段階としては障害児を直接的に対象とする前に「心理的構え」について重点的にデザインされた実験的検討を行うことの重要性を指摘した。そのことによって音楽鑑賞時に生じる意識変動の特異性について、今後さらに詳細な所見が得られるものと考えている。さらに昨年度には学校現場や臨床場面での計測を可能とするために小型の計測機器を導入し、その使用の可能性と有効性を検証した。今年度は解析のためのソフトウェアを導入しながら様々な状況での計測を試みた結果、将来的に学校現場やフィールドにおける有用性を実証することができた。一方、混入雑音が多くみられる障害児からの生理学的指標に関わるデータの分析には、デジタル信号処理を応用したフィルタリングの手法を用いた検討を進めてきた。これまでに265次のFIRデジタルフィルタを用いた広域遮断型の特性が有効であることが明らかとなっている。今年度は従来的なアナログフィルタと移動平均との方法論的な比較を行うことによって具体的な波形変化を示しながらその有効性を明らかとした。
著者
森 幸男 相川 直幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.334, pp.13-18, 2002-09-18
被引用文献数
3

FIRディジタルフィルタは常に安定であり,パルス通信や高速データ通信などの分野では実用上重要なフィルタである.FIRフィルタは完全な直線位相特性を実現する場合フィルタ係数が対称となるため,群遅延はフィルタ次数の半分となる.そのため,急しゅんな特性が要求されると大きなフィルタ次数が必要となり,その結果遅延時間が増大し,実時間処理において問題となることがある.近年,このような問題を解決するために,低遅延FIRフィルタの設計法が検討されている.しかし,帯域通過FIRフィルタの設計法については,逐次近似法を用いた通過域最大平たん阻止減等リプルであるフィルタの設計法が報告されているに過ぎない.そこで,本報告では,通過域平たんかつ伝送零点を持つ低遅延帯域通過FIRフィルタの,数学的に閉じた形の伝達関数を提案する.本方法では,指定した周波数において任意の平たん度と群遅延を持ち,かつ指定した伝送零点を持つ伝達関数が与えられる.提案する伝達関数は数学的に閉じた形であるため,設計が容易であるという特徴がある.
著者
深江 誠司 相川 直幸 佐藤 正光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.1192-1196, 1997-07-25
被引用文献数
31

逐次射影法は, 周波数領域や時間領域に制約のある実係数直線位相FIRフィルタの設計問題のような実近似問題を解くことができる. しかしながら, インパルス応答に対称性のない実係数FIRフィルタや複素係数FIRフィルタの設計問題は複素近似問題となり, 従来提案されている逐次射影法では直接解くことができない. そこで本論文では複素近似問題をそれと等価な実近似問題に変換することにより, 逐次射影法を用いてそれらのフィルタを設計する方法を提案する.
著者
杉田 泰則 吉川 敏則 相川 直幸
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J93-A, no.12, pp.795-804, 2010-12-01

ディジタル信号処理の分野において,処理目的に応じてリアルタイムでフィルタ特性を変化させたいことがある.この要求を満たすために,使用時に周波数特性を容易に変えられる可変ディジタルフィルタに関する研究が近年盛んに行われている.本論文では,阻止域において部分的に大きい減衰量を複数もち,かつ,それら大きな減衰の領域がそれぞれ可変な低遅延FIRディジタルフィルタの設計法を提案する.提案法では,重み付き最小二乗法を用い,重み関数を更新して最小二乗問題を繰り返し解くことで準等リプル特性を得る.
著者
森 幸男 相川 直幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.95, no.227, pp.15-20, 1995-09-12

本研究では、主成分分析技法を用いて日本語単母音の特徴を抽出し、不特定話者の母音の認識を試みた。本方法は、音声の短時間スペクトル包絡を用いて主成分分析を行い、各主成分ごとの主成分得点の分布を得る。この分布の幾つかは、母音ごとに集中する傾向がある。そのような主成分で任意の音声の主成分得点を求め、あらかじめ求められた分布と比較し、候補母音を決定する。本研究では、40話者の5母音を用いて分析し、任意の14話者の5母音を認識させたところ、91.4%という比較的高い認識率が得られた。