著者
斉藤 了文 サイトウ ノリフミ Saito Norifumi
出版者
名古屋工業大学技術倫理研究会
雑誌
技術倫理研究 (ISSN:13494805)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.129-135, 2012

大石敏広『技術者倫理の現在』と比屋根均『技術の知と倫理』の二つの著書の批評を通じて,技術者倫理について考えていく. 3 つの方向で論じて行く. まず第一に,この 2 著の感想,もしくは概観を通じて,技術者倫理の研究の方向性について,そして各著作の論点の幾つかについて取り上げる. 第二に,新たな現代的事例に対して,新しい技術者倫理の著者たちは,どう応えるのだろうか.ここでは,東電の福島原発の吉田所長の事例を提示してみる. 第三に,補足的ではあるが,私自身このごろまた考えている技術論,技術の知識に関して,比屋根さんの論点から触発された論点や議論を提示してみたい.
著者
斉藤 了文 SAITO Norifumi
出版者
科学基礎論学会
巻号頁・発行日
2007

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著者
斉藤 了文 SAITO Norifumi
出版者
社団法人 日本技術士会中部支部 ETの会
巻号頁・発行日
2007

エンジニアを専門職として位置づけるのがここでの問題である。そのために、3つの点に注目して考察する。先ず第一は、人工物問題だ。これは、エンジニア人工物をつくる専門家だということに関わる(第一節)。次に、組織問題がある。これは、エンジニアが独立して仕事をするというよりも、企業や組織に属するということに関わる(第2節)。第三に、専門家の集団が、専門家をどのようにサポートするかという問題がある(第3節)。
著者
斉藤 了文 SAITO Norifumi
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.1-28, 2013-03

We construct a new technology study on artifacts. In this paper, artifacts as physical existence, designed objects, and products ordered by clients will be discussed in terms of living with objects produced by human craft. 技術論を、人工物を中心にまとめることがこの論文の目的である。理学と工学の相違から始めて、人工物を個物として取り上げる。そして、人工物は、科学技術を体現したものであるというだけでなく、発注者の意図を体現したものでもある。この観点から、責任を考えていく。そして、設計というポイントを取り出す。これらの自明の論点を展開することによって、新しい技術論を、人工物と共に暮らすという観点の下に立ち上げる。
著者
斉藤 了文 SAITO Norifumi
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.29-52, 2013-03

本研究は独立行政法人学術振興協会の科研基盤研究(C)課題番号22500972の助成を得た。This article describes ethical issues in technology caused by the Fukushima nuclear accident based on reports of the Accident Investigation Committee and remarks by the party concerned. Multifaceted technological and social problems which are critical for professional engineers will be explored. The focus will be on a number of points: technological design, engineers' decision, social and legal regulation, scientific communication, and so on. 三つの事故調査委員会の報告書及び当事者の発言を基にして、福島原発事故においてどのような工学倫理の問題が存在しているかを記述してみる。もちろん、大きな事故があれば、当然多様で多面的な問題領域が出現する。その中で、技術者という専門家にとって重要となる、技術と社会の問題の発見を試みる。第1節では、設計に関して割り切りや技術の継承を扱う。第2節では、吉田所長という技術者の行動を中心に、海水注入と東電撤退の問題を扱う。第3節では、社会の要請としての規制が現場の技術から乖離する問題を取り上げた。第4節では、技術者が社会に発信する場合の問題を取り上げた。第5節では、セキュリティや専門家としての活動に関わる安全問題を取り上げた。