著者
Hiroshi IWATA Yasuhiro TEZUKA Tepy USIA Shigetoshi KADOTA Akira HIRATSUKA Tadashi WATABE
出版者
和漢医薬学会
雑誌
Journal of Traditional Medicines (ISSN:18801447)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.42-50, 2004 (Released:2007-09-21)
参考文献数
38
被引用文献数
7

78 種の生薬エキスについて,ヒト薬物代謝酵素シトクロム P450 3A4 (CYP3A4) および P450 2D6 (CYP2D6) に対する阻害作用を調べた。生薬エキス粉末からメタノール可溶性画分を調製し, 添加量 1.65 mg/mL で反応を行った。CYP3A4 の指標として用いたヒト肝ミクロソーム中のエリスロマイシン N-脱メチル化活性に対して 50 % 以上の阻害を示した生薬は 31 種であり, その中の 8 種 (白, 桂皮, 丁子, 羌活, 牡丹皮, 大黄, 蘇木, 五味子) が阻害率 90 % 以上を示した。 CYP3A4 活性に対する阻害の強さは, 蘇木, 大黄, 五味子, 羌活, 白の順であり, IC50 値は, それぞれ 43, 77, 127, 144 および 185 μg/mLであった。 一方, CYP2D6 の指標として用いたヒト肝ミクロソーム中のデキストロメトルファン O-脱メチル化活性に対して 50 % 以上の阻害を示した生薬は 28 種であり, その中の 13 種 (桂皮, 丁子, 黄連, 麻黄, 釣藤鈎, 羌活, 厚朴, 牡丹皮, 黄柏, 大黄, 蘇木, 防巳, 山椒) が阻害率 90 % 以上を示した。 CYP2D6 活性に対する阻害の強さは, 黄柏, 黄連, 防巳, 蘇木, 大黄の順であり, IC50 値は各々 4, 14, 40, 52 および 64 μg/mL であった。 これらの結果から, CYP3A4 あるいは CYP2D6 に対する阻害活性を示す生薬が複数存在することが明らかとなった。
著者
Suresh AWALE Thein Zaw LINN Myint Myint THAN Maung Maung THET Thein SWE Ikuo SAIKI Shigetoshi KADOTA
出版者
Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
雑誌
Journal of Traditional Medicines (ISSN:18801447)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.178-183, 2006 (Released:2007-06-21)
参考文献数
17

ミャンマーの伝統医療における医学的慣習は神秘に包まれている。世代を超えて永続しているその慣習は,現地の人々の宗教的信仰に基づいているものが多い。ミャンマーの一部の地域では,全人的治療法として仏陀の時代の頃から存続している知識がいまだに保存されていて,それが慣習的に使われている。この論文ではミャンマーの仏教文化の中で,伝統医によって行われている牛の尿を用いた驚くべき治療法について強調している。
著者
Hiroshi IWATA Yasuhiro TEZUKA Shigetoshi KADOTA Akira HIRATSUKA Tadashi WATABE
出版者
Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
雑誌
Journal of Traditional Medicines (ISSN:18801447)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.281-286, 2004 (Released:2007-12-28)
参考文献数
14
被引用文献数
3

26 種の生薬のシトクロム P450 3A4 (CYP3A4) 及び 2D6 (CYP2D6) に対する阻害作用を調べた。 生薬エキス粉末から調製されたメタノール可溶性画分を NADPH 生成系存在下, ヒト肝ミクロソームとプレインキュベーションした後の CYP3A4 の残存活性 (erythromycin N-demethylation 活性) と CYP2D6 の残存活性 (dextromethorphan O-demethylation 活性) を測定した。 その結果, 16 種の生薬がCYP3A4 活性をプレインキュベーション時間依存的に低下させた。 中でも, 呉茱萸による CYP3A4 活性の低下作用が最も顕著であった (30 分間プレインキュベーションした後の活性の残存率は 22.3%)。 次いで, 蘇木, 羌活, 五味子, 牛蒡子, 白, 大黄が顕著な低下を示した (30 分間プレインキュベーションした後の活性の残存率は, それぞれ 40.6, 41.2, 53.4, 47.1, 53.4, 59.2%)。 これら 7 種生薬による CYP3A4 活性低下作用は, CYP3A4 に対する不可逆的阻害剤である troleandomycin による残存率 (49.4%) に匹敵した。 CYP2D6 活性に対してプレインキュベーション時間依存的な活性の低下を示した生薬は, 5 種であった。 最も CYP2D6 活性の低下作用が大きかった生薬は, 羌活であり, 30 分間プレインキュベーションした後の活性の残存率は 61.9%であった。 以上の結果から, 呉茱萸, 蘇木, 羌活, 五味子, 牛蒡子, 白芷, 大黄等の複数の生薬エキス中に, CYP3A4 に対する metabolism-dependent inhibitor が含まれていることが示唆された。