- 著者
-
上田 守三
Noriaki WATANABE
Yukio USHIKUBO
Takashi TSUZUKI
Kazuya AOKI
Yasuyuki YAMAZAKI
Hirotsugu SAMEJIMA
- 出版者
- The Japan Neurosurgical Society
- 雑誌
- Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.6, pp.441-446, 1997 (Released:2006-04-10)
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
-
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CSD(Cortical Spreading Depression)は可逆性の現象である。CSDの際,neuron活動による熱を発生し,その脳温変動が円状に伝搬する。さらにCSDに伴う脳血流の一過性増加が見られる。このCSDの特長を応用して,脳温と局所脳血流(regional cerebral blood flow—rCBF)変動を観察した。CSD惹起後,脳血流が一過性に増加する際脳温が低下した。すなわち,CSDの際,代謝の亢進により脳温が上昇するが,その初期には脳温が低下する現象が証明された。この結果より脳代謝ばかりでなく脳温の制御においても脳血流が重要な役割をしていることが証明された。脳神経外科領域において,損傷による脳温上昇を避けるには正常な皮質の血管構築の保護が重要である。