著者
相馬 正史 都築 誉史 千葉 元気
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第12回大会
巻号頁・発行日
pp.56, 2014 (Released:2014-10-05)

道徳ジレンマとは,1人を犠牲にして5人を救うことは道徳的に適切かどうか,というように道徳的な葛藤をもたらす状況を指す。多くの研究では,道徳判断の二重過程理論を支持しており,それは義務論判断(規範や義務感を遵守する行動が道徳的に正しいとする立場)が自動・無意識反応に基づき,功利主義判断(道徳的に正しい行動とは,結果により決定されるという倫理立場)が熟考に基づくというものである。道徳判断の反応時間について,功利主義判断の方が,義務論判断よりも長いことが知られている。この反応時間の説明として,功利主義判断は,認知的葛藤を生じるためと主張されている。本研究は,個人がどの程度,義務論を重要視しているか,功利主義を重要視しているかという道徳判断の程度と,唾液アミラーゼの程度との関連について検討することを目的とした。実験結果,唾液アミラーゼ活性の大きさと義務論判断の多さが関係することが見いだされた。