著者
大園 享司 門 祐太 Takashi Osono Yuta Kado
出版者
同志社大学ハリス理化学研究所
雑誌
同志社大学ハリス理化学研究報告 = The Harris science review of Doshisha University (ISSN:21895937)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.221-229, 2021-01-31

本稿では土壌におけるリン溶解菌(リン化合物の可溶化に関わる細菌・真菌)の機能的多様性をまとめる。土壌における主要な無機リン・有機リン化合物の動態についてまとめ、土壌微生物のリンプールとしての役割ならびにリンの変換における役割を紹介する。微生物は無機リン・有機リンの可溶化能力の点で機能的に多様であり、リン可溶真菌として50属の子嚢菌類、担子菌類、ケカビ類が報告されている。有機リン化合物を加水分解するホスファターゼをコードする遺伝子を有するリン可溶細菌のメタバーコーディングについての最近の研究をレビューし、リン可溶真菌に関する今後の研究について議論する。
著者
大園 享司 広瀬 大 Takashi Osono Dai Hirose
出版者
同志社大学ハリス理化学研究所
雑誌
同志社大学ハリス理化学研究報告 = The Harris science review of Doshisha University (ISSN:21895937)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.41-51, 2020-04-30

樹木の生葉に由来する内生菌が枯死葉からも出現しその分解に関与することが知られている。本総説では、樹木の葉リターの分解に関わる内生菌の分類と生態を集約した。内生菌の葉リターにおける出現、定着、遷移、存続と、分解プロセスへの貢献についてまとめた。環境DNAを対象とした分子生物学的手法を用いた予備的な研究から、亜熱帯林と熱帯林の樹木葉でのリグニン分解に果たす内生菌の役割は小さいことが示唆された。