著者
山下 裕史朗 向笠 章子 松石 豊次郎 WILLIAM E. PELHAM
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.75-81, 2009-03-30 (Released:2017-06-28)

われわれは、米国BuffaloのPelham教授によって確立され、ADHDをもつ子どもへの治療モデルプログラムとして全米で行われているSummer Treatment Program(STP)を2005年から久留米市でスタートし、3年間継続してきた。STPは、デイキャンプ方式のプログラムで、ポイントシステム、正の強化子、デイリーレポートカード、タイムアウトなどのエビデンスに基づく手法を用いた。2005年は2週間、2006から2007年は3週間、のべ89名(年齢6〜12歳)が参加した。タイムアウト頻発のため個別プログラムを要する子どもが毎年1名いたが、ドロップアウトしたものはいなかった。行動改善はすべての子どもに認められ、ADHDや反抗挑戦性障害の症状も有意に改善した。保護者の満足度はきわめて高い。米国のSTPは、日本人ADHDをもつ子どもにも有効であるだけでなく、医療・心理・教育の各専門家のコラボレーションを高め、学生の臨床教育、臨床研究に役立つプログラムである。