著者
Danny W. Scott Heather D. Edginton William H. Miller Jr. Mitzi D. Clark
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.7-9, 2015 (Released:2015-05-12)
参考文献数
12
被引用文献数
2

第2世代の抗ヒスタミン薬であるロラタジンが,猫アレルギー性皮膚炎の管理に有効であるという逸話的情報が教科書やインターネット上で報告されている。そこでロラタジンをアレルギー性皮膚炎に罹患した27頭の猫に,5 mg/catで1日1回経口投与した。その結果,わずか1頭(4%)の猫においてそう痒を良好に管理することが可能であった。有害事象は認められなかった。
著者
Evin R. Adolph Danny W. Scott William H. Miller Jr. Hollis N. Erb
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.9-15, 2014 (Released:2014-04-26)
参考文献数
35
被引用文献数
2 9

テトラサイクリンとナイアシンアミドを12例の円板状エリテマトーデス(DLE),3例の肛門周囲/陰部周囲エリテマトーデス(PPLE),1例の水疱型皮膚エリテマトーデス(VCLE)および1例の剥脱型皮膚エリテマトーデス(ECLE)に投与した。DLE 12例中8例(67%)およびPPLE 3例中3例(100%)では十分に制御できた。ECLEでは部分的な反応であり,VCLEでは無反応であった。
著者
Danny W. Scott William H. Miller Jr.
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.135-147, 2013 (Released:2013-10-31)
参考文献数
50
被引用文献数
8

過去15年の間に皮膚疾患を主訴として受診した猫の13.8%,ならびに全症例の0.9%がアトピー性皮膚炎と診断された。本症に特有の好発年齢や性差は認められなかったが,アビシニアン,ヒマラヤンまたはペルシャに好発する傾向があった。季節性を伴わない臨床症状が症例の62.4%で認められた。皮膚の反応パターンを頻度の高いものから順に挙げると,皮疹を伴わない左右対称性の?痒(特に顔面,耳介および頸部),外傷性脱毛(特に腹部,背部および四肢),粟粒性皮膚炎(特に背部および頸部)ならびに好酸球性肉芽腫群(特に亢進,腹部および大腿内側)の順であった。症例の36.2%では異なる反応パターンが同時に認められた。症例の18.6%では二次的な細菌感染が,また症例の6.6%では酵母による感染症が認められた。食物アレルギーとの合併を認めた症例の頻度はわずか4.5%で,ノミアレルギーとの合併例は認められなかった。多くの症例では,グルココルチコイド製剤や抗ヒスタミン薬,オメガ-6/オメガ-3脂肪酸,アレルゲン特異的減感作療法,ならびにこれらの併用療法により,臨床症状を良好に管理することができた。
著者
Danny W. Scott William H. Miller Jr.
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.3-9, 2013 (Released:2013-04-10)
参考文献数
42
被引用文献数
1

疥癬が疑われた犬350例と,耳介に皮膚疾患が認められたものの耳介―後肢反射が陰性であった1,345例の犬に関する後向き研究を行った。駆虫薬の投与後に症状が改善した犬の29%では,皮膚掻爬物鏡検により寄生虫が確認された。疥癬が確定された(皮膚掻爬物鏡検でダニが検出された)犬,ならびに疥癬が疑われた(皮膚掻爬物鏡検は陰性であったが駆虫薬の投与後に症状が改善した)犬の78.4%では耳介―後肢反射が陽性であり,またこれらの犬の全てで耳輪に皮膚症状が認められた。これに対し,疥癬とは異なる耳介の皮膚疾患を有する犬のうち,耳介―後肢反射が陽性であった症例はわずか1~12%であった。疥癬が疑われたものの皮膚掻爬物鏡検では陰性であった犬の83%で,駆虫薬の投与後に症状が改善した。疥癬が疑われたものの駆虫薬により症状が改善しなかった犬の多くが,アトピー性皮膚炎または食物アレルギーを有していた。疥癬は皮膚疾患を主訴として来院した犬症例の3.8%を占め,年齢,品種,性別による差は認められなかった。
著者
Danny W. Scott William H. Miller Jr.
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.239-243, 2012 (Released:2012-12-29)
参考文献数
14
被引用文献数
1

Fly-bite dermatitis was diagnosed in 35 dogs, accounting for 0.4% of the canine dermatology cases and 0.1% of the canine hospital population over an 11-year period. Labrador retrievers appeared to be over-represented. Three different clinical presentations were recognized, and may be associated with the bites of Simulium spp. (black flies), Chrysops spp. (deer flies), or Stomoxys calcitrans (stable flies). The dermatoses occur during fly season in dogs that go outdoors.
著者
Danny W. Scott William H. Miller
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.203-209, 2010 (Released:2011-08-26)
参考文献数
25
被引用文献数
5

74例の猫が,猫のざ瘡と診断された。好発年齢,品種または性別などは認められなかった。また本症の病因となる病態を特定することはできなかった。猫の多く(58.1%)が,猫のざ瘡の病勢別分類のうち自覚症状を伴わない非炎症性面皰のステージに属し,何らかの治療は行われていなかった。猫の一部(41.9%)では,ざ瘡に伴い二次的な細菌性毛包炎/せつ腫症が認められた。二次的な細菌感染症は,抗菌薬を用いた治療により良好に管理することができた。82.4%の猫では予後調査が可能であり,調査した全ての猫で面皰のステージが持続して認められた。
著者
Danny W. Scott William H. Miller Jr.
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.169-170, 2012 (Released:2012-10-13)
参考文献数
3
被引用文献数
3

鼻・趾端の特発性角化症は,特有の外観を呈する犬の疾患である。本症では特徴的な病歴を伴うが,皮膚以外には異常は認められない。過去11年間において35例の犬が本症と診断され,その来院頻度は犬の皮膚科症例では0.4%で,犬の外来症例全体では0.1%であった。イングリッシュ・ブルドッグ,ミニチュア・プードル,ミニチュア・シュナウザー,アメリカン・コッカー・スパニエル,ならびにドーベルマンは本症の好発犬種と考えられた。ほとんどの症例(71.4%)では,鼻部のみに病変が認められた。本症は無症候性で病変が永続し,自然寛解に関する報告はこれまでのところない。
著者
Danny W. Scott William H. Miller Jr.
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.165-167, 2012 (Released:2012-10-13)
参考文献数
10
被引用文献数
1

シュナウツァー面疱症候群は,特有の外観を呈するミニチュア・シュナウツァーの皮膚疾患である。過去11年間において16例の犬が本症と診断され,その来院頻度は犬の皮膚科症例では0.2%で,犬の外来症例全体では0.04%であった。興味深いことに,本症を主訴として来院した症例は2例のみで,12例(75%)の犬のオーナーは来院するまで本症に気づかなかったとのことであった。予後に関する情報は10例(62%)の症例で得られたが,本症の臨床症状は3ヵ月~9年の間変化することはなかった。
著者
Danny W. Scott William H. Miller Jr.
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.13-18, 2012 (Released:2012-04-17)
参考文献数
40
被引用文献数
1 2

特発性好酸球性肉芽腫の猫55症例について後向き研究が行われた。初発年齢は,症例の93%で4歳以下であった。病変は主に口唇,大腿後縁または下顎に認められ,無症候性のことが多かった。症例の70%では丘疹-結節が,また症例の30%では線状病変が認められた。症例の78%では治療は行われず,中でも予後調査が可能であった症例(67%)では症状が自然寛解し,再発も認められなかった。
著者
Heather D. Edginton Danny W. Scott William H. Miller Jr. Joya S. Griffin Hollis N. Erb
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.241-246, 2011 (Released:2012-01-19)
参考文献数
38
被引用文献数
2 3

表在性天疱瘡(落葉状天疱瘡,紅斑性天疱瘡)の犬34例をテトラサイクリンおよびニコチン酸アミド(TCN)併用療法により治療した。29例の犬について予後に関する情報が得られ,62%の犬ではTCN併用療法が奏功した。TCN併用療法の有効性と,性別,治療開始までの期間,過去におけるグルココルチコイド療法の有無,そう痒の有無,TCN併用療法による治療期間,TCNの投与間隔の延長の有無,または病変分布との間に関連は認められなかった。