著者
武居 渡 四日市 章 Takei Wataru Yokkaichi Akira
出版者
筑波大学心身障害学系
雑誌
心身障害学研究 (ISSN:02851318)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.147-157, 1999-03

聾児の言語獲得に関する研究の多くは、音声言語に関するものであった。そこで、本研究では、音声言語だけでなく、手話言語の側面から聾児の言語獲得について文献的な資料をもとに考察した。その結果、手話言語環境にある聾児の手話言語獲得過程は、聴児の音声言語獲得過程ときわめて類似していることが示された。また、手指モダリティにも喃語が存在し、手指喃語が手話の初語表出の基礎となっていることも明らかになった。聴児において、音声喃語表出の直前に身体運動が観察され、それがモダリティを越えて音声喃語表出を促すことが報告されているが、聾児の手指喃語は、聴児にも見られる身体運動が、持続的に発展したものだと推測された。以上の結果から、聴児が音声言語を発達させるのと同じように、聾児は手話言語を発達させることが明らかになり、聾児の言語獲得を考える際、手話と音声言語の両方を考える必要性が示された。
著者
四日市 章 Yokkaichi Akira
出版者
筑波大学教育研究科カウンセリング専攻リハビリテーションコース
雑誌
筑波大学リハビリテーション研究 (ISSN:09178058)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.74-76, 1994-03-31

聴覚障害児にとって、コミュニケーションの障害は克服すべき最も大きな課題のひとつといえる。聴覚障害児の教育にあたっては、歴史的に、保持している聴覚と読話や発語を最大限に活用することを基本とする、聴覚口話法が中心的に用いられてきた。しかし近年、聴覚障害者が社会で活動するさまざまな場での手話通訳者の活躍や、地域での手話サークル活動の ...