著者
福田 友美子 森本 行雄 四日市 章
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.229-235, 1994-06-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
3
被引用文献数
1

現在の日本社会における聴覚障害者のコミュニケーション手段の使用に関して, 先天性の重度聴覚障害者の集団を対象にして, 郵便によるアンケート調査を行った。 3740通の質問紙を発送したのに対して回答数は1696通で, 回答率は45%であった。 その結果次のことがわかった。1. コミュニケーションの相手によって, 異なったコミュニケーション手段を用いていた。2. 音声言語でのコミュニケーションが要求される場面では, 筆談を用いているものが多かった。3. コミュニケーションの手段として, 手話が最も有効であり, 続いて指文字・読話・補聴器の順に有効性が高いという判断がなされていた。4. 先天性の聴覚障害者であっても, 情報補償の方法として, 手話だけでなく文字による補償への希望も同様に多かった。
著者
武居 渡 四日市 章 Takei Wataru Yokkaichi Akira
出版者
筑波大学心身障害学系
雑誌
心身障害学研究 (ISSN:02851318)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.147-157, 1999-03

聾児の言語獲得に関する研究の多くは、音声言語に関するものであった。そこで、本研究では、音声言語だけでなく、手話言語の側面から聾児の言語獲得について文献的な資料をもとに考察した。その結果、手話言語環境にある聾児の手話言語獲得過程は、聴児の音声言語獲得過程ときわめて類似していることが示された。また、手指モダリティにも喃語が存在し、手指喃語が手話の初語表出の基礎となっていることも明らかになった。聴児において、音声喃語表出の直前に身体運動が観察され、それがモダリティを越えて音声喃語表出を促すことが報告されているが、聾児の手指喃語は、聴児にも見られる身体運動が、持続的に発展したものだと推測された。以上の結果から、聴児が音声言語を発達させるのと同じように、聾児は手話言語を発達させることが明らかになり、聾児の言語獲得を考える際、手話と音声言語の両方を考える必要性が示された。
著者
霍間 郁実 四日市 章
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.421-430, 2013
被引用文献数
1

本研究では、手話から日本語への同時通訳(読み取り通訳)の量的な側面を明らかにするために、訳出率と変換作業について分析を行った。分析対象とした手話話者の発話の文節数は307文節であり、各通訳者5名が発話した文節数は207~283文節であった。訳出率は41.7%~71.8%であり、通訳資格をもつ者の中でも差が大きいことが示された。通訳者は重要語を選択的に訳出しており、訳出率の高い通訳者は少ない発話数で効率よく訳出を行っていることが推察された。訳出における変換作業は「同等」「言い換え」「付加」「省略」「誤り」に分類され、「言い換え」や「省略」では、通訳者が共通して選択する文節があることが示された。
著者
霍間 郁実 四日市 章
出版者
The Japanese Association of Special Education
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.421-430, 2013
被引用文献数
1

本研究では、手話から日本語への同時通訳(読み取り通訳)の量的な側面を明らかにするために、訳出率と変換作業について分析を行った。分析対象とした手話話者の発話の文節数は307文節であり、各通訳者5名が発話した文節数は207~283文節であった。訳出率は41.7%~71.8%であり、通訳資格をもつ者の中でも差が大きいことが示された。通訳者は重要語を選択的に訳出しており、訳出率の高い通訳者は少ない発話数で効率よく訳出を行っていることが推察された。訳出における変換作業は「同等」「言い換え」「付加」「省略」「誤り」に分類され、「言い換え」や「省略」では、通訳者が共通して選択する文節があることが示された。
著者
四日市 章 Yokkaichi Akira
出版者
筑波大学教育研究科カウンセリング専攻リハビリテーションコース
雑誌
筑波大学リハビリテーション研究 (ISSN:09178058)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.74-76, 1994-03-31

聴覚障害児にとって、コミュニケーションの障害は克服すべき最も大きな課題のひとつといえる。聴覚障害児の教育にあたっては、歴史的に、保持している聴覚と読話や発語を最大限に活用することを基本とする、聴覚口話法が中心的に用いられてきた。しかし近年、聴覚障害者が社会で活動するさまざまな場での手話通訳者の活躍や、地域での手話サークル活動の ...
著者
有海 順子 四日市 章
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.353-362, 2012 (Released:2013-09-18)
参考文献数
11

本研究では、聴覚障害学生に対するパソコン通訳支援について、学生通訳者の「支援経験」「入力方式」「専門知識」に着目し、大学授業における情報の訳出率を分析した。その結果、通訳者は講義音声の中から実質的文節と重要文節を選択的に訳出していた。専門用語の訳出では、専門知識の有無による影響がみられ、支援対象講義と支援学生の専門性を考慮した通訳者配置が重要であることが示された。支援経験については、経験者のほうが初心者よりも10%程度多くの情報を訳出しており、その差は有意であった。1名による単独入力では発話全体の20~50%、2名による連係入力では40~80%が訳出されており、連係入力のほうが1.5~2倍の情報を提供しうることが示された。また、連係入力では、各通訳者の条件によって提供できる情報量が変わりうることが示唆された。
著者
武居渡 四日市 章
出版者
筑波大学心身障害学系
雑誌
心身障害学研究 (ISSN:02851318)
巻号頁・発行日
no.23, pp.147-157, 1999-03
被引用文献数
2

聾児の言語獲得に関する研究の多くは、音声言語に関するものであった。そこで、本研究では、音声言語だけでなく、手話言語の側面から聾児の言語獲得について文献的な資料をもとに考察した。その結果、手話言語環境にある聾児の手話言語獲得過程は、聴児の音声言語獲得過程ときわめて類似していることが示された。また、手指モダリティにも喃語が存在し、手指喃語が手話の初語表出の基礎となっていることも明らかになった。聴児において、音声喃語表出の直前に身体運動が観察され、それがモダリティを越えて音声喃語表出を促すことが報告されているが、聾児の手指喃語は、聴児にも見られる身体運動が、持続的に発展したものだと推測された。以上の結果から、聴児が音声言語を発達させるのと同じように、聾児は手話言語を発達させることが明らかになり、聾児の言語獲得を考える際、手話と音声言語の両方を考える必要性が示された。
著者
武居 渡 鳥越 隆士 四日市 章
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.33-41, 1997-11-30
被引用文献数
1

本研究では、離島に住む就学経験のない聾者が自発的に発展させた身振りについて記述し、その特徴を検討した。調査者と対象の聾者との自由会話をビデオに収録し、すべての身振りを単語を単位として書き起こした。その結果、全体の約3割が指さしによって構成されており、指さしが聾者の身振りの中で重要な機能を担っていた。具体物に対する指さしだけでなく、その場にないものまで指さしを使って表し、指さしが語彙として定着した例も見られた。また、指さし以外の身振りでは、現実世界のものの扱い方や対象物をパントマイム的に再現しているわけではなく、手型自体があるカテゴリーを持ち、聾者は現実世界にあわせて手型を選択的に使用していた。このような特徴は、日本手話やアメリカ手話などの体系的な手話言語にも見られ、体系的な手話言語が、身振りの特徴を基にして発展していることが示唆された。
著者
四日市 章 河内 清彦 園山 繁樹 長崎 勤 中村 満紀男 岩崎 信明 宮本 信也 安藤 隆男 安藤 隆男 前川 久男 宮本 信也 竹田 一則 柿澤 敏文 藤田 晃之 結城 俊哉 野呂 文行 大六 一志 米田 宏樹 岡崎 慎治 東原 文子 坂尻 千恵
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

研究成果の概要 : インクルーシブ教育を理論的・実践的両側面から捉え、国内外の障害に関する理念・教育制度の展開等について歴史的に解明するとともに、特定地域の幼児・親・教師を対象として、障害のある子どもたちのスクリーニング評価の方法の開発とその後の支援について、長期的な研究による成果を得た。