- 出版者
- 小瀬道甫
- 巻号頁・発行日
- 1600
書名は上巻巻頭による。保元の乱(1156)から暦応2年(1339)の後醍醐天皇崩御までを扱った歴史書。成立は南北朝時代の正平年間(1346-70)後半といわれる。鎌倉幕府の動静に詳しく、著者は武家方の者かとされる。古活字版ではじめて刊行され、1巻本(慶長末刊)とここに掲出した2巻本がある。2巻本は内題の下に「小瀬道甫刊」とあり、1巻本の本文に道甫が自身の評論を加えて増補刊行したもの。版式等から元和・寛永頃刊行と推定され、同版は大東急記念文庫所蔵本が知られる。刊行者小瀬道甫は小瀬甫庵(道喜。1564-1640)と同一人物とされる。甫庵は『信長記』『太閤記』の著者で、古活字版も何点か刊行している。本書には、下巻巻末に明治34年(1901)の梅屋埜史(歴史家関場忠武。1838-1921)の朱書識語、後見返しに享保17年(1732)の関川平四郎(松前在住、伝未詳)の墨書識語がある。蔵書印のうち「尚古斎」は国学者佐藤硯湖(1831-90)、「畊雨珍蔵」「子孫保之」「東西書屋関場氏所蔵之印」等は関場忠武のもの。