著者
加藤 重広
出版者
富山大学人文学部
雑誌
富山大学人文学部紀要 (ISSN:03865975)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-12, 1998-08-31

Saussure(1916)に示された,signifiantとsignifieの結合によって言語記号が構成されるという考え方は,現在でも言語学の基本的知見のひとつである。本稿では,ソシュール以前のシニフィアンとシニフィエをめぐる考え方、いわば意味観の流れを素描する。その中でもWilhelm von Humboldtの意味観をソシュール以前の言語研究の典型として,ソシュールのそれと比較して論じる。また,ソシュールの考えを継承しつつ,独自に発展させたラカンの思想にも触れる。本稿では,具体的なテーマを論じる前に,まず第1章で言語学史の意義と方法論を簡略に論じる。ついで,第2章で,シニフィアンとシニフィエをめぐる意味観の流れを考察することにする。

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