- 著者
-
田上 善夫
- 出版者
- 富山大学人間発達科学部
- 雑誌
- 富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.1, pp.169-194, 2010-11
本論では,風の祭祀にかんして,まず現在の実態を明らかにする。とくに風の祭祀の分布密度の高い,信越地方とその周辺を例として,特色のある民間行事をとりあげる。こうした風の祭祀について,とくに以下の3点から分析を加える。まず共通点の多い,信州とくに諏訪周辺の風の祭祀からの分析である。次に記紀に始まる古文献にみられる風の祭祀からの分析である。さらに風の三郎とかかわりの深い,全国に進出した諏訪信仰からの分析である。最後にこれらの分析に基づいて,風の祭祀にみられる風の観念について,検討を試みる。