著者
桑原 尚史
出版者
関西大学
雑誌
情報研究 : 関西大学総合情報学部紀要 (ISSN:1341156X)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.95-107, 2022-01-30

本稿は,ヒトの進化過程におけるヒトの情報行動の形成を概観することを目的とした.その結果,本研究においては,ヒトの進化および情報行動の形成を方向付けた要因として次の2つの要因が指摘された.ひとつは,乾燥化および寒冷化という環境の変化の要因である.もうひとつは,ヒトの生態学的地位の低さという要因である.ヒトは,この生態学的地位の低さを,道具の使用および集団の形成という2つの行為で克服し,環境の変化を生き延びた.そして,本研究においては,道具の使用および集団の形成は,発声器官を変化させ,言語を複雑化させ,社会的知性を発達させ,ヒトの脳を進化させたとの考察がなされた.

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