- 著者
-
植原 亮
- 出版者
- 関西大学
- 雑誌
- 情報研究 : 関西大学総合情報学部紀要 (ISSN:1341156X)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, pp.41-56, 2018-10-15
本稿の目標は,徳と人間本性をめぐるアリストテレス的な主題に関連する現代的な議論の見取り図を描き出すことである.そのために,この主題を構成する要素のうちの三点を取り上げて批判的に検討を加える.第一に,卓越した性格特性としての徳という見方に関する状況主義論争を手短に振り返る.第二に,人間本性にもとづく特定の徳のセットやそれがもたらす繁栄という概念の抱える困難を指摘する.第三に,人間本性という考えそのものを発生システム論などの現代の理論的枠組みから吟味する.