著者
Junko Konishi 小西 潤子
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.99-130, 2021-07-30

「山口修写真コレクション」は,山口修(1939–)が 1960 年代半ばから 1990年代にアジア・太平洋各地で収集した 5,000 点以上の写真資料からなる。これらの理解を深めるために,民族音楽学の歴史を遡ることで山口の学問的関心を突き詰める。すなわち,20 世紀前後の欧州における近代科学に基づいた比較音楽学,戦前日本における東洋音楽の歴史と理論を扱った東洋音楽研究,1950年代から米国で文化相対主義の影響によって開花した行動学的民族音楽学である。これらを基盤に,山口は民族音楽学の理論と実践を国内外に発信し,「応用音楽学」として集大成した。その中で楽器学の骨子は,(1)エティック/イーミックスなアプローチ,(2)楽器づくりのわざ,(3)楽器の素材,とされる。次に,これらの観点から 1970 年代沖縄・奄美における楽器の写真について,当該文化の担い手による解釈を交えて論じる。対話の積み重ねによる持続的なデータベースづくりは,まさに山口が目指した未来志向性の応用音楽学的実践だといえる。

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山口先生の学術的な仕事の概観は小西潤子さんのこの論文を参照。https://t.co/FxOIclY45N 小西さんはオレの少し上の先輩で、当時山口先生の授業中、お子さんのオムツを換えていたのを印象的に記憶している。そう、そういう光景も当時の阪大音楽学では普通のことでした

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