- 著者
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村澤 和多里
- 出版者
- 札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
- 雑誌
- 札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities
- 巻号頁・発行日
- no.102, pp.111-135, 2017-10-30
本稿では,わが国における「ひきこもり」という概念の成立過程について,先行する問題である「不登校」との関係を中心に検討することを目的とする。「不登校」は1950年代後半に注目を集め,1980年代に入って爆発的な増加を示した。その後,1992年に文部省が不登校が「誰にでも起こり得る」という認識を示した結果,社会の不登校に対する容認的な態度が増していくが,成人期までに引き延ばされた不登校の問題が「不登校その後」として浮上していった。 1990年代後半になって,この問題は「ひきこもり」と呼ばれるようになるが,その後,疫学的調査が行われていく中で,行動上の問題として定義し直されていった。