著者
山本 政人 Masato Yamamoto
出版者
学習院大学人文科学研究所
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.9, pp.35-54, 2011-03-28

本論文は日本におけるアタッチメント理論の受容とその後の研究の発展について検討したものである。Bowlby のアタッチメント理論は1970 年代に日本に紹介されたが、実証研究が盛んになったのは、1980 年代に入り、Strange Situation procedure(SSP)が導入されたことによってであった。しかし、SSP は日本の乳児に強いストレスを与えるため、Cタイプの出現を促進すると考えられた。また、アタッチメントのタイプと気質には明確な関連が見られなかったため、SSP による研究は衰退した。1990 年代に入り、内的ワーキングモデル概念が注目され、アタッチメント研究は再び盛んになった。特に、アタッチメントの世代間伝達に関する研究は活発に続けられてきた。世代間伝達だけでなく世代間の相互作用を明らかにすることや、児童虐待の防止につながる実践的研究を推進することが今日の重要な課題である。

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