著者
山本 政人
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.98, no.7, pp.53-59, 1999-07-01
著者
山本 政人 Masato Yamamoto
出版者
学習院大学人文科学研究所
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.9, pp.35-54, 2011-03-28

本論文は日本におけるアタッチメント理論の受容とその後の研究の発展について検討したものである。Bowlby のアタッチメント理論は1970 年代に日本に紹介されたが、実証研究が盛んになったのは、1980 年代に入り、Strange Situation procedure(SSP)が導入されたことによってであった。しかし、SSP は日本の乳児に強いストレスを与えるため、Cタイプの出現を促進すると考えられた。また、アタッチメントのタイプと気質には明確な関連が見られなかったため、SSP による研究は衰退した。1990 年代に入り、内的ワーキングモデル概念が注目され、アタッチメント研究は再び盛んになった。特に、アタッチメントの世代間伝達に関する研究は活発に続けられてきた。世代間伝達だけでなく世代間の相互作用を明らかにすることや、児童虐待の防止につながる実践的研究を推進することが今日の重要な課題である。
著者
山本 政人
出版者
学習院大学
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.8, pp.119-128, 2009

本研究では幼児がどのように因果的な話を産出するかを検討した。5 ~ 6 歳の幼児46 名に3枚の絵カードを見せ、話を作ることを求めた。幼児に呈示した絵には具象的なものと非具象的なものとがあった。幼児へのインタヴューの結果、具象的な絵では、5 歳児の38%、6 歳児の56%が因果的な話を作ることができた。しかし非具象的な絵では、ほとんどの5 歳児が話を作ることができなかった。話を作ることができた子どものうちの何人かは接続詞や副詞を使用したが、それらの使用は5 歳児ではほとんど見られなかった。これらの結果から、因果的な話の産出はディスコースの発達に支えられており、子どもは6 歳までに「起承結(発端・展開・解決)」という物語構造を獲得することが示唆された。