- 著者
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鈴木 彩加
スズキ アヤカ
Suzuki Ayaka
- 出版者
- 大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
- 雑誌
- 年報人間科学 (ISSN:02865149)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, pp.23-38, 2013-03-31
現代の日本社会において、草の根レベルの保守運動が活発化している。1990 年代後半には「新しい歴史教科書をつくる会」によって歴史修正主義に基づく中学校歴史・公民教科書の制作と採択運動が行われた。2000 年代前半になると、保守系諸団体によって男女共同参画反対運動が行われ、行政に大きな影響を与えた。これらの草の根保守運動は、市民運動とも類似性をもつ草の根レベルの新しい保守運動として注目されている。その契機となったのが小熊英二・上野陽子(2003)による「つくる会」の実証研究である。しかし、草の根保守運動を対象にした実証研究はその後行われておらず、とくに社会的影響力の大きかった男女共同参画反対運動に関しては保守系団体がどのように人びとの支持を集めているかが明らかにされていない。そこで本稿では、全国的にみても男女共同参画反対運動が活発だった愛媛県の市民団体A 会を事例とし、保守系団体が男女共同参画を問題化し人びとの支持を集めることができた要因を提示した。分析と考察の結果、愛媛県の男女共同参画反対運動では「つくる会」歴史教科書運動では見られなかった保守系諸団体間のつながりが草の根レベルでも存在していること、そして“ 家族” に争点化することで女性会員の生活意識に訴えかけていることが明らかとなった。