著者
中村 重穂
出版者
北海道大学留学生センター
雑誌
北海道大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.11, pp.56-75, 2008-03

小論は、2002年度目本語教育学会春季大会シンポジウムに端を発する安田敏朗と松岡弘の「論争」を批判的に検討したものである。松岡は、安田が日本語教育史研究の「これから」に対して行った批判に反批判を加え、コメニウスと山口喜一郎の言語教育観・教授法の類似性を根拠に言語教育の普遍性を主張し、日本語教育を論難する安田に反論する。しかし、筆者は、この反論に於ける松岡による安田の見解の不当な矮小化、歴史的文脈を無視したコメニウスと山口の対比の不的確性、松岡のテキスト解釈の狭さを指摘し、さらに、こうした松岡の解釈が安田や、同様に日本語教育を批判する駒込武に対する"報復感情"に起因することを批判した。また、松岡や関正昭の駒込・安田批判が、日本語教育の部外者に向けられながら内部者には為されない不徹底さを指摘し、その閉鎖的な体質を批判するとともに、歴史研究者からも学ぶこと及び日本語教育に無理解な言説に対する批判の必要性を提唱した。

言及状況

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[社会言語学] これは いい。文献案内としても。こういう議論って だいじだよね。しかし、「おわりに」の部分は いらない。
[社会言語学] これは いい。文献案内としても。こういう議論って だいじだよね。しかし、「おわりに」の部分は いらない。

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