著者
加藤 修 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.2354-2364, 2016-11-15

二人零和有限確定完全情報ゲームにおいてすでにAIは人間に匹敵する強さとなっており,最近では麻雀や人狼など,多人数ゲーム,不完全情報ゲーム,不確定ゲームが新たな研究対象として注目を集めている.そのような中で不確定ゲームとしてデジタルカーリングがある.デジタルカーリングはカーリングの二人用コンピュータゲームであり,AIどうしを競わせカーリングの戦略を解析することを目的とした不確定ゲームのテストベッドとして開発された.本研究ではデジタルカーリングにボードゲームの探索手法を適用し,投球目標座標と回転方向を候補手,盤面状態を局面としてデジタルカーリングにExpectimaxによるゲーム木探索を適用する手法を提案する.Expectimaxではゲーム木内で確率的に推移するノードを用いており,ゲームの不確定性を考慮した探索が可能となっている.提案手法の有効性を検証するため,不確定性を考慮する場合としない場合それぞれにおいて探索の深さを変化させ既存AIとの対戦実験を行った.その結果,提案手法による不確定性の考慮を行った場合に勝率が上昇し,また不確定性を考慮した場合のみ探索の深さを増やすことで勝率が上昇したことから,デジタルカーリングにおける提案手法による不確定性を考慮した先読みの有効性が明らかとなった.

言及状況

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カーリングのゲーム木探索の論文(公開されてた)。テレビゲーム(デジタルカーリング)上での戦いというところに、一抹の空しさがある。物理シミュレータではペブル、摩擦、ストーンの回転、などがきちんとモデルに含まれてない感じ。でも興味深い試み。#カーリング https://t.co/77XO6sm1BE
ちなみにカーリングとバックギャモン繋がりあります。カーリングもバックギャモンと同じく不確実性を含むゲームとして扱えます。Masahito https://t.co/kibLYXSTdv

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