著者
前田 幸男
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.3-25, 2003-03-31

米国において全国規模の選挙調査が稀であった時代には,集計データ分析,あるいは地方小都市調査による投票行動研究が主流であったが,そこでは社会的影響仮説は重要な研究主題の一つであった.しかし,全国規模の調査が選挙研究の主流になる1950年代以降,社会的影響仮説の研究は顧みられなくなる.1960年代以降も幾つかの論文が散在したとは言え,それらはいずれも深刻な方法論的問題を抱えたものであった.1980年代以降社会的影響仮説に対する関心は再び高まったが,そこでは従前の方法論的困難を克服するために,斬新な設計を施した調査がハックフェルトとスプラーグにより行われた.日本の選挙データを用いた社会的影響研究はフラナガンとリチャードソンの研究を嚆矢とするが,彼らは極めて小さな社会的影響しか発見できなかった.これに対して近年のハックフェルトとスプラーグの研究に触発された社会心理学者の研究は別の角度から日本人の投票行動における社会的影響を明らかにした.ただし日本における社会的影響研究は日米の制度的違いを明確に意識して行われていないので,幾つかの点で改善の余地があるように思われる.米国製の理論を日本に応用する際の陥穽が最後に検討される.

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[社会] 構成比によって同一属性の人の振る舞いがことなる

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