- 著者
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田中 信行
- 出版者
- 東京大学社会科学研究所
- 雑誌
- 社會科學研究 (ISSN:03873307)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.3, pp.61-86, 2003-03-31
中国の証券法は激しい論争を経て98年にようやく成立したが,論争の成果を反映したものとはならず,時代に遅れた姿のまま誕生した.証券法が施行されてからまもなく,中国はWTO体制の構築へと転換に動き始め,法制度の整備が進められた.証券市場も国際化とそのための規範化を急ピッチで進めているが,証券法は蚊帳の外に置かれたままになっている.本来,国有企業改革における法的支柱のひとつとして期待されて登場したはずの証券法が,なぜかくも惨めな境遇に貶められているのか.本論文は,それが置かれている現在の正常とはいいがたい状況の根源を明らかにし,そのことが提示する問題の意味について考察することにより,今後の改革のなかで証券法に課せられている課題とは何かを展望する.