著者
苅部 直
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:3873307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.37-46, 2006-09-30

天皇論という視角から見た場合, 日本社会の1990年代は, その前代との変化が大きいのに比べて, そのあと, 2000年以降との違いはあまりなく, 90年代における特徴が, いまも持続していると言ってよい.言論界においては, かたやナショナリズムの復活を声高に唱える声, そして他方ではそうした動向を警戒する議論が盛んで, 天皇論も対立点の一つとなっている.だが論壇での議論の熱さに比べ, 社会一般の皇室に対する感情は, むしろ希薄なものと言ってよく, そのことがかえって.ナショナリズムと政治意識との関係に, ある不安定性をもたらしているのである.

言及状況

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苅部 直「浮遊する歴史 — 1990年代の天皇論」を読んだ。 http://t.co/c8cCSMS2d4

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