著者
鶴 光太郎
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3/4, pp.99-123, 2011-03-15

所得格差拡大の要因については, 高齢化の進展, 単身世帯の増加など世帯の「見かけ」の動きを強調する議論もあるが, 若年層での格差拡大は目立ってきており, 非正規雇用, 特に有期雇用の拡大と関連している. 有期雇用労働者が直面する格差には賃金, 教育訓練などの「処遇の格差」, 「雇用安定の格差」, 「セイフティネットの格差」があるが, こうした格差の縮小のためには, 契約終了手当・金銭解決導入等の雇用不安定への補償や「期間比例の原則」への配慮によって, 雇用安定と処遇の格差の一体的な解決を目指すべきである. また, 有期雇用, 無期雇用, 両サイドで多様な雇用形態を創出し, 連続的に繋がるような仕組みを構築することが重要だ. さらに, 格差問題への政府の積極的な関与も期待されているが, 「必要な人に必要なサポート」を原則に, 最低賃金の引上げなどよりも低所得者の・社会保険料等の負担軽減を目的とした給付付き税額控除で対応するべきである.

言及状況

Twitter (2 users, 4 posts, 0 favorites)

2 2 https://t.co/o4CCq9Z5dg
1 1 https://t.co/UBsZYNHHaT

収集済み URL リスト