著者
寺沢 拓敬
出版者
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
雑誌
言語情報科学 (ISSN:13478931)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.159-175, 2013-03-01

本研究の目的は、戦後日本社会における英語の位置づけを、世論調査の分析によって、客観的に明らかにすることである。このテーマは、従来から注目を集めてきたもので、先行研究も多数あるが、日本社会全体を考慮に入れた客観的な検討は乏しい。こうした問題に対処するため、過去に行われた世論調査を収集し、それらの分析・経年比較を行った。収集の結果、英語に関する設問を含む、多数の世論調査が見つかったが、紙幅の関係上、本研究では、英語志向の一指標となる2設問 ―すなわち「現在の英語学習」「英語学習意欲」― に焦点化し、とくにその歴史的変化とジェンダーとの関係性を主たる検討対象とした。分析の結果、日本社会「全体」を覆うかのように言われてきた「英語ブーム」や、「女性は本質的に英語志向」のような一枚岩的なジェンダー観・英語観には、根拠が薄いことがわかった。その上で、日本社会の英語志向には、従来言われてきたものよりも、いっそう複雑な歴史的推移・ジェンダー差が見出せることを明らかにした。

言及状況

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@nazonakaze 情報ありがとうございました。参考になりました。なにかの参考になればと思い、無料で読めるもののリンクをお送りします http://t.co/Rc9kBdwAqk 件の「女性は英語好き」論に関する章は、この論文を一般向けに書き改めたものです。
@tera_sawa 過去の世論調査によれば、外国語に学習意欲を持つ人は数%から10%弱。1桁台のパーセンテージ。出所は自分の論文(営業)http://t.co/e37drDmHaB
戦後日本社会における英語志向とジェンダー : 世論調査の検討から 著者: 寺沢, 拓敬 http://t.co/lLNWBuaV8D それらしいものをダウンロードしてみた。

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