著者
磯部 昌吾 中澤 正彦 米田 泰隆
出版者
Institute of Economic Research, Kyoto University
雑誌
KIER Discussion Paper
巻号頁・発行日
vol.1402, 2014-06

中央銀行による国債買入は、非伝統的な金融緩和政策の実施手段の1つである。日米英の中央銀行の国債保有残高は、2013年12月までに、日本銀行では96.7兆円、米国連邦準備理事会(FRB)では1.7兆ドル、イングランド銀行(BOE)では3,750億ポンド増加している。中央銀行による国債買入の効果については、既に様々な分析が行われているが、金融市場に与えた影響を国際的に比較した分析は少ない。また、中央銀行が買入れた国債の残存期間に着目した分析は皆無である。そこで本稿では、日本・米国・英国の残存期間別の国債買入額を用いて、3力国において、中央銀行による国債の買入が、金融市場に与えた影響を分析した。その結果、3力国とも共通して株価に対しては、中央銀行による残存期間3年超の国債の買入が有意に正の効果を持つとの結果が得られた。他方、国債利回りと為替レートに対しては、有意に影響が推定されるものもあるが、共通した結果は得られない。株価に対する正の効果は、ポートフォリオ・リバランス効果や、期待インフレ率が高まったことによる株価上昇を捉えている可能性が考えられる。

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“金融市場に対する非伝統的な金融緩和政策の影響: 日米英の中央銀行の国債買入政策に関する分析” 磯部昌吾,中澤正彦,米田泰隆 (2014) http://t.co/6zHNXT0ioT #経論

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