著者
檀上 寛
出版者
史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.635-669, 2009-07-31

東アジアの国際秩序に関する従来の研究は、中国王朝が与えた官爵・王号から朝貢国の序列を検討することはあっても、国際秩序を原理面から考察したものは皆無であった。本稿は東アジア世界に働く国際秩序の原理性に着目し、爵制的秩序、官僚制的秩序、宗法秩序の三秩序の存在をまず明らかにする。このうち朝貢体制を支えるのは前二者の尊尊の君臣秩序であり、親親の宗法秩序は朝貢体制の埒外にある諸国家を、擬制的血縁関係により中国中心の国際秩序の中に取り込むものであった。この宗法秩序の役割が大きく変化するのが明代である。明は対外関係を朝貢制度に一元化し、極めて厳格な政治体制を採用する。さらに全ての朝貢国に冠服を下賜して宗法秩序を適用し、華夷一家の理念世界を可視化することで朝貢体制を正当化した。今まで朝貢体制と無縁であった宗法秩序が朝貢体制に内在化し、朝貢一元体制をイデオロギー的に補強したところに明の特徴があったといえよう。

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