- 著者
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岩本 陽児
- 出版者
- 和光大学現代人間学部
- 雑誌
- 和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, pp.109-128, 2023-03-17
本稿では、主に文献研究の手法により、奈良・平安朝エリートの邸宅という独特の空間に発生し、形を変えながら現在に続く「前栽」(せんざい)、中国に発生した花壇概念と室町期の「花壇」、江戸期の園芸書に見られた「花壇」の実態をまず確認した。次に明治以降を取り上げた。街路樹導入や都市公園建設と並行して、学校の校庭や民家にも花壇が普及した。しかし、街路の緑化は、戦後復興期の都市整備と、戦後創設された社会教育制度が中核的な役割を担った「新生活運動」の一領域である国土を美しくする運動、いわゆる「国土美運動」を待たなくてはならなかった。かくて都市のパブリックスペースに普及した花と緑の景観は、地方行政が新自由主義に転じる中で、新たなマネジメントの段階に入っていった。