著者
萩野 貴史
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.187-205, 2017-03-31

わが国の刑法学では,死体遺棄罪の「遺棄」概念について,これまで議論が活発とはいえない状況にあった。しかし,現在の社会状況や近時の判例に鑑みると,これを検討する意義は少なくないように思われる。 そこで,本稿では,死体遺棄罪における「遺棄」概念の内容を検討し,その処罰範囲について一定の視座を与えることを目的とする。 そのために,まず日本の刑法における死体遺棄罪の沿革を概観したうえで,刑法学において法益を明らかにすることが当該条文の解釈に際して指針となるとされている点に鑑みて,死体遺棄罪の保護法益を検討する。その後に,死体遺棄罪の「遺棄」概念について他分野の知見を参照しつつ,一定の視座を提供する。最後に,不作為による「遺棄」概念についても触れることとするが,不真正不作為犯に関する総論的な視点も必要となるため,私見を展開する前段階として,現在の議論状況とその検討課題を明らかにする。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (8 users, 8 posts, 1 favorites)

死体遺棄罪における「遺棄」概念に関する覚書 https://t.co/Nr8rqu8835 を踏まえて考えたい。 / “「国民の一般的な宗教的感情」を害したので有罪。孤立出産で死産したベトナム人技能実習生、地裁判決の中身(望月優大) - 個人 - Yahoo!ニュース” https://t.co/nkPPAO7P22
“死体遺棄罪の保護法益は何かという点について,通説的な見解は,社会秩序としての一般的な宗教感情16)や死者に対する敬虔感情17)であると解している。” 死体遺棄罪における「遺棄」概念に関する覚書 https://t.co/9dcASxWgLu おおう。通説がそもそも意味不明やった。
検索してこれを見つけて斜め読みしたけど、葬式を行わないだけでも死体遺棄罪に問われうるんだなあ。 死体遺棄罪における「遺棄」概念に関する覚書 https://t.co/ywK4h5pJjE
「死体等の遺棄を刑法で規制するって宗教・習俗的に揉めそうやな……。イスラムみたいな火葬タブーの宗教とどう整合性つけんの?」と思っていたら、どんぴしゃな論文発見。あとで読む。 萩野貴史「死体遺棄罪における「遺棄」概念に関する覚書」https://t.co/f4QjDiqrya

収集済み URL リスト