著者
丹羽 文生
出版者
拓殖大学国際日本文化研究所
雑誌
拓殖大学国際日本文化研究 = Journal of the Research Institute for Global Japanese Studies (ISSN:24336904)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.169-187, 2023-03-25

第二次世界大戦後、日本の敗戦に伴って蔣介石率いる「中華民国」政府(国府)に接収された台湾に、中国大陸から続々と中国兵や民間人がやって来た。彼らは汚職、腐敗に加え、強盗、万引き、強姦といった暴虐の限りを尽くし、社会全体が乱れに乱れた。そして、ついに台湾の人々の憤怒が爆発し、一九四七年二月二八日、民衆蜂起「二・二八事件」が起こった。すると間もなく中国大陸から派された国府の援軍による無差別殺戮が始まり、反体制派と見做された多くの台湾人が投獄、処刑された。犠牲者数は三万人近いと言われている。これを機に日本に亡命、生涯に亘り「中華民国」体制からの「独立」を目指し台湾独立運動に挺身したのが王育徳だった。本稿は、王育徳が中心となって結成された「台湾青年社」の機関紙『台湾青年』第六号(一九六一年二月二〇日)の「二・二八特集号」のうち、事件の顛末を綴った「二・二八事件日誌」と、王育徳のエッセイ「兄王育霖の死」を、解説を附して翻刻したものである。

言及状況

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PDFあり。 ⇒丹羽 文生 「王育徳と二・二八事件」 『国際日本文化研究』第6号 (2023/3) https://t.co/1p3c7b2Qam

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